愛すべき病み作家”白石一文”の「愛なんて嘘」を読んだ感想

 

愛なんて嘘 (新潮文庫)

 

白石一文さんとの出会いはロッキング・オン

白石一文さんの作品がいつの頃からか好きになっていました。

たしか、ロッキング・オンで「僕のなかの壊れていない部分」の書評を読んでからだったと思います。

どんな書評だったか記憶が曖昧ではありますが、当時大手企業に努めていて、同期どの出世競争で負けて、薄暗い目をしていた自分にドハマリの書評だったと記憶しています。

白石一文の名前を耳にするたびに想起される苦い思い出があります。

合コンで出遇ったインテリ女性との思い出です。

インテリというか、仕事ばりばりの今で言えば意識高い系女性です。

大手企業勤務だった自分を「仕事ができる人」と勘違いして、何度かデートへ行くことになったのですが、趣味が合わない合わない。

その意識高い女性との趣味の合わなさの象徴が白石一文だったというわけです。

オススメの本を聞かれて紹介したのが白石一文の小説でした。

「ちょっとよくわからない」という感想を最後に彼女から連絡がくることはありませんでした。

 

愛なんて嘘を読んだ

なぜこんなにも好きなのかが分かった単行本に巡り会えた感がある、愛なんて嘘という短編集。

何本かの短編が載っていているのですが、そのうちの前半が特に好きです。

白石一文の本は一般的にはバットエンディングと言えるものが多いでしょう。

でも、世の中とうまく対峙できない自分にとっては最高のエンディング。

そう、白石一文の本には自分のように底辺サラリーマンと自ら口に出してしまうような、ダメな人間が憧れる行動をした人たちが沢山出てくるからです。

白石一文の小説には降りた人間が沢山出てくるのです。

世界(日本)とうまくやっていけない人達。

そんな人達でも少しの幸せな気分を味わうことはできる。

そう示唆してくれるから、そんな夢を見させてくれるから、自分は白石一文の作品が好き。

愛なんて嘘っていうタイトルをこの単行本につけた理由はわかったようでわからないけど。

一人ぼっちな一人ぼっちを愛する人への最高の恋愛小説が載っていると思います。

愛なんて嘘

愛なんて嘘

 

よかったらシェアしてね!

コメント

コメントする

目次
閉じる