本多静六の「私の財産告白」という本をご存じでしょうか。
[say]いや、知らないな。[/say]
Amazonのランキングを眺めていると、時折顔をのぞかせていますし、kindle Unkimitedにでもおススメ商品として表示されることが多いので、なんとなく知っているという人も多いかと思います。
個人的には怪しさ満点で、なんとなく敬遠していたのですが、異世界への挑戦の一環として読んでみることにしました。
そして、強烈に得心することになったのです。
本多静六「私の財産告白」が売れてるのには理由があった
ああ。やっぱりそうだ。有名な本や売れている本には理由があるんだという法則を強く感じる一冊となりました。
ちなみに、本多静六「私の財産告白」は大学教授が給与1/4を天引き貯金して、そのお金を投資に回して巨万の富を築いたという話し、哲学を綴った本です。
貯金→投資という王道の話しではあります。
今となってはそれほど珍しい手法を記載しているわけではありません。
では何故この本が名書なのでしょうか。
お金に関する名言のオンパレードだからです。
本多静六は「公園の父」呼ばれるかたのようで、日比谷公園、大沼公園など明治以降日本にできた大規模な公園にはかかわりが強い方のようです。
本多静六は人生に最も大切なことはお金であると断言する
要するに、いわゆる世俗的な成功の第一義は、まずなんとしても、経済生活の独立にある。これなくしては何事もの成功もおぼつかなく、またどんな成功も本当の成功とは世間ではみてくれない
ところが、世の中には、往々間違った考えにとらわれて、この人生に最も大切な金を頭から否定してかかる手合がある。
まずは人生に最も大切なものはお金であると書いている点が素晴らしい。
なぜ日本人はお金を毛嫌いするのか。インベスターZの感想。という記事にも書きましたが、どうも日本人にはお金の事を汚いもの、不純なものとしてとらえる癖があるように思います。
自分もそうです。そして”お金が全てではない”などどうそぶいて、ブラック労働に勤しみます。
まずは認めることが必要なのかもしれません。お金を稼ぐという事から逃げてはいけません。
本田静六の言うように、経済的独立なくして、何事も成し遂げられないのです。
本多静六はなぜ投資をしなくてはならないのかを教えてくれる
人間一生の収入を全部積み上げても高が知れている
だから投資をする必要があるという話しです。
静かに景気の循環を洞察して、好景気時代には勤倹貯蓄を、不景気時代には思い切った投資を、時期を逸せず巧みに繰り返すよう私はおすすめする
そして投資方法の哲学、手法について話されているこの言葉。凄みがすごい・・。
しかしながら悩ましいのは、投資の素人にとっては、好景気、不景気というのはなかなか判断が難しいという点です。
投資初心者は明確な不景気、たとえばバブルが崩壊した後やリーマンショックの後、そして未来の話をするのであれば、東京オリンピックの後などに投資に打って出るのがよいのいでしょうか。
本多静六が考える子育て
子孫を本当に幸福らなしめるには、その子孫を努力しやすいよう教育し、早くから努力の習慣を与え、かつできるだけ努力の必要な境遇たらしめることであると
子育てについての考え方も至極真っ当で、真理です。
財産を贈与してもそれが永遠の幸せをもたらすとは言えません。
ただ、僕ら一定の年代までの日本人は、努力が美徳と考えすぎてしまうきらいがあります。
努力こそが最高の行為であり、結果が出なくても構わないというやつです。
子育てにおいても、努力を賞賛するあまりに、努力中毒にならないよう気を付けなければならないなと感じ入るところではあります。
本多静六はお金と人付き合いについて教えてくれる
ともかく、1日も速やかに経済生活の独立を確保しようとする者は、つまらない世間の思惑などに心を惑わしてはいけない。ケチン坊などというそしりに耳をかたむけていてはいけない。
出すべきものを出し、するだけのことをしておいての上であれば、だれはばかることはない。まず、その初志の貫徹に向かって邁進すべきである。
そしてまたお金に関しての哲学に戻ります。
ついつい見えを張ったり付き合いだったりで、無駄金を使ってしまう自分にとっては耳が痛くなる言葉です。
無駄なあのスナック同行。本当にやめないといけません。
部下と一緒に飲みに行って、ついつい「ここは良いよ、俺が払っておくから」についても、経済生活の独立を確保しようとする上では、不要極まりない行動であるのです。
本多静六はひたすらお金と向き合う
金をバカにする者は、金にバカにされる。
最後に強烈な一言です。
お金よりやりがい、金は二の次で。
何故かそんな考え方を刷り込まれてきましたが、40年以上生きてきて気がついたお金の大切さ。
サラリーマンをやっていると、結果が出なかったり、給与が増えなかったりしても、なんとなく仕事のやりがいとか、社会貢献みたいな話に逃げ込みがちです。
もっと、お金と言う結果に真摯に向き合うべきなのでしょう。
お金にならない稼働に対しては、もっとドライにその量を減らすべきなのかもしれません。
本多静六「私の財産告白」はお金に対して真摯に向き合い、決して逃げることがなかった著者の凄みを感じさせる1冊です。
お金というある意味バケモノとどう対峙し、従わせてきたのかそれがよくわかる1冊でした。
この本を読んだらもう、私たちはお金から顔をそむけることなどできないはずです。
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